猫の鼻腔リンパ腫|抗がん剤治療開始と排尿障害【ジジの闘病記②】

猫との暮らし
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※この記事は、ジジという一匹の猫に実際に起きた経過を記録したものです。
治療内容や薬への反応は猫によって異なります。
気になる症状がある場合は、必ず動物病院へ相談してください。

この記事では、2026年3月9日に抗がん剤治療を始めてから、4月14日にエンドキサンを開始するまでの経過を書いています。

前回の記事では、くしゃみと鼻水から始まり、
突然の群発発作をきっかけにMRI検査を受けるまでを書きました。

検査では、左右の鼻腔から鼻咽頭にかけて大きな病変があり、
左下顎のリンパ節も腫れていました。
この時点で強く疑われたのが、鼻腔リンパ腫です。

ここから、抗がん剤治療が始まりました。

きっと元気になってくれる。そう願っていました。

けれど、治療を始めれば少しずつ元気になるという、
単純な経過ではありませんでした。
発作が止まった直後、今度は左後ろ脚が動かなくなりました。

そして、自分でトイレができなくなったのです。

2026年3月9日 リンパ腫の治療を始める

闘病が始まったばかりで、まだ右も左もわからない状態でした。
ジジには、抗がん剤のひとつである、L-アスパラギナーゼを投与しました。
比較的、高齢猫でも副作用が少ない方の抗がん剤と説明を受けました。

ジジは15歳。放射線治療など、治療のたびに全身麻酔が必要になる方法は、高齢のジジには負担が大きいとのことでした。

3月7日から続いていた発作には、抗てんかん薬を継続。

そして3月10日0時51分。
これを最後に、何度も繰り返していた発作はいったん止まります。

約3日間、ずっと続いていた群発発作。
群発発作について調べるうちに命に関わることもあると知り、
ジジが発作を起こすたび、このまま死んでしまうのではないかと本当に恐ろしかった。

20分間隔から40分、2時間と間隔が空き、
ついに丸一日発作が起きなかったときには、ほっとして涙が出ました。

また、首のリンパ節も小さくなったように感じて、少しだけ先が見えた気がしました。

群発発作が続いていた3月上旬、横になっている黒猫のジジ
群発発作が続いていた3月上旬のジジ

3月11日ごろ 自分でおしっこができなくなる

発作が止まった翌日ごろから、自力での排尿が難しくなりました。

最後の発作から、左後ろ脚が動かなくなってしまったのです。

トイレに何度も行きたがる。出ない。
歩けないので人間がトイレまで運びますが、何度トイレに行っても出ない。

不安なのか、そばから離れない。
短くて高い声でにゃ、にゃ、と私を見て甘えるように鳴き、
まるで助けを求めているように感じました。

すぐに病院で相談すると、もともと尿結石もあるのでまずはカテーテルで排尿させることに。

ここから毎日、圧迫排尿のために通院することになりました。

3月12日の検査では尿道閉塞はなく、
「神経性の排尿障害の可能性があります」と、獣医さんからお話がありました。

尿が溜まっていないか。
結石が出ていないか。
自力でどれくらい排尿できたか。

これらを毎日確認しながら、病院で圧迫排尿と点滴を受けました。

カリウムが不足した場合にも後ろ足に力が入りにくくなる可能性があるとのことで、
点滴にはカリウムも加えられました。

一時期は、ほぼ毎日通院しました。
私はたまたま2月末で仕事を退職していたので、
仕事をしている人は一体どうしているのかなと、当時は考えていたことを覚えています。
本当に仕事を辞めて良かった。ジジと一緒にいられるから。

つきっきりの介護。
病院へ連れて行き、常にそばにいてジジが動きたいようにサポートしました。

自宅で圧迫排尿ができればよかったのですが、ジジは体格が大きかったため、獣医師でも苦労していました。

圧迫排尿を嫌がり、処置のあとに放心したようになるジジを見るのも心苦しい時間でした。

毎日嫌な思いをさせて、つらい思いをさせてごめんね……

3月16日 抗がん剤の効果が見え始める

3月16日の診察では、L-アスパラギナーゼの効果が見え始め、
頸部リンパ節の腫れが小さくなっていると説明されました。
鼻水も止まり、呼吸も楽そうに見えました。
私自身、触った感じで小さくなっていることがわかり、とても嬉しかったです。

6日間発作は起きておらず、排尿も少しずつですが戻っていました。
ただ、食欲には大きな波がありました。

食器を動かすと何度も鼻先で追いかけてくる。
前足でお皿をカチャンカチャンと触ることもありました。
食べたい気持ちはありそうなのに、なかなか食べてくれない。
水もあまり飲まず、循環するタイプの給水器や、いろいろな器に水を入れて試しました。

それでもほとんど飲みませんでした。

食べられる時間を探しながら、ちゅーるやウェットフード、
スープ状のフードなど少しずつ出して、
1日全体の量を確保しようとしていました。

でも、到底1日分を確保できる量には届かず。
1口でも食べてくれるなら嬉しい。そんな状態が続きました。

食べ物に興味を示し、前足で器に触れるジジ。食べたい様子はあるものの、なかなか口にはできませんでした。

3月20日 2回目のL-アスパラギナーゼ

排尿は少しずつ戻ってきましたが、リンパ腫の治療は思うように進みませんでした。

3月20日、2回目のL-アスパラギナーゼを投与。

後ろ足が動かなくなった最後の発作から、10日が経過。
この頃には自力で排尿し、自分から水も飲めるようになりました。
毎日だった通院も、2日に1回程度でよいと言われるまでに回復していました。

とはいえまだ左後ろ脚の脱力はあり、立ち上がって排尿はできません。

最初はトイレも猫砂だったのですが、
横ばいで排尿するとどうしても砂が体にくっついてしまいます。
ペットシートをトイレの中に敷くことにしましたが、
そのままペットシートを敷いただけではトイレをしてくれず……。
最終的には猫砂の上にペットシートを敷くことで無事にトイレをしてくれるように。

寝床に敷いたペットシートの上で横になるジジ
後ろ足がうまく動かない時期は、寝床にもペットシートを敷いていました。

安いペットシーツを購入したせいか吸収率が悪く、
おしっこで体がビチャビチャになる事件もありました。
厚手で吸収率のいいペットシートを探し、だいぶ濡れなくなりましたが、
おしっこは皮膚がすぐかぶれてしまうので
びしょ濡れになってしまったときは、ぬるま湯で湿らせたガーゼで、洗うように拭きました。

ジジは協力的な猫で、あまり嫌がらずに拭かせてくれました。

※排尿後に体が濡れてしまったときの写真です。

排尿後にお腹や後ろ足の毛が濡れてしまった黒猫のジジ
ペットシートが十分に吸収できず、お腹や後ろ足が濡れてしまったときの様子

一方で、頸部リンパ節は再び大きくなっていました。
2回目の投与から3日目にも、目立った縮小はみられませんでした。
それどころか、少しずつ大きくなっているように感じました。

「効きが弱くなってるかな」先生がつぶやくように言いました。

またこの頃、何もない空間を目で追い、前足でちょんちょんすることがあり、
ぼーっとしていることが増えてきました。

病院では幻覚などの神経症状の可能性もあると言われ、
再び発作が起きないか見守ることになります。
幸い、大きな発作は起きませんでした。

次回の診察まで様子を見てみましょうという話で、この日の診察は終わりました。

また、抗がん剤で病変が小さくなっても完治は難しいこと、
状態が良くなったように見えてもまた悪くなったりを繰り返す可能性があると説明されました。

「治るかもしれないと期待しないでください」という趣旨のお話もありました。

治らない。ジジはもう治らない。
私が早く気づいてあげられなかったから。
気づける機会なんて、きっといくらでもあったのに。

3月24日 パラディアへ変更

2回目のL-アスパラギナーゼでも結局頸部リンパ節に縮小がなく、
やはり、むしろ大きくなっているとのことでした。
先生からは、薬に対する抗体ができ、効きにくくなった可能性について説明がありました。

はじめの投与後にはリンパ節が小さくなったように見えたのに……。
2回目でもう効かなくなっちゃったの?
次の抗がん剤が効くかなんてわからない。怖い。

でも、まだ生きていてほしい。

3月24日、別の抗がん剤「パラディア錠15」へ変更しました。
※パラディア錠は国内では犬の肥満細胞腫に承認された薬です。ジジには獣医師の判断で使用されました。

先生からの説明によると比較的新しい薬で、
リンパ腫にどの程度効くかは分からないものの、
副作用が比較的少ないため、試してみることになりました。

ところが29日には大きさや硬さに変化がなく、
31日には若干大きくなっている可能性があるとのこと。
効かなければ次の治療を考える、という話も出始めました。

治療と一緒に、排尿や食事も見続ける

この頃に見ていたのは、リンパ腫だけではありません。

排尿障害、尿路結石、膀胱炎、食欲の波、後ろ足の不安定さ。
そして、群発発作がまた起こらないかという心配もありました。

食べた量。
飲んだ量。
おしっことうんち。
薬。
発作の有無。

毎日記録し、発作を見逃さないよう発作を検知してくれるペットカメラも新しく設置しました。

1日2回の薬。うまく動かない体。食欲もない。
そんな生活の中でも、ジジは私のそばで眠り、撫でてほしそうに甘えてきました。

体調が悪い日が続いても、ずっと「ぐったりした猫」だったわけではありません。
甘えて、たまに遊ぼうとしたり。
その日のジジなりの生活を送っている、といった様子でした。

この子は一生懸命、生きようとしている。
ジジは頑張り屋さんで、強くてかっこいい。

4月1日 圧迫排尿がいらなくなる

4月1日、ジジはついに1日のうちに自力で4回排尿できました。
診察でも「もう圧迫排尿をしなくてよさそう」と言われました。

毎日のように「出た」「出ない」を気にしていたので、
自分でおしっこができるようになったことは本当に嬉しかったです。

ただ、同じ日の診察では、やはり抗がん剤が効いていない可能性があり、
次の治療を考える必要があるとも説明されました。
排尿が戻っても、まだ安心はできませんでした。

期待してはいけない。そう先生から言われていたのに、
今回のパラディア初回投与から1週間。
初めからほぼ効かなかったことに、正直、落胆を隠せませんでした。
次の通院時に別の抗がん剤を試すことになりました。

会計を待っているとき、同じ年齢でリンパ腫を患っている猫の飼い主さんと話す機会がありました。
その猫はもう食事をとることも難しく、抗がん剤治療ではなく緩和ケアを受けているとのことでした。

キャリーから見える姿が痛々しくて、飼い主さんも涙を堪えながら話してくださいました。

近い将来のジジの姿なんじゃないか。
薬が効かなくなってきたこと、他の猫ちゃんの状態を見たことで強い不安が襲いました。
泣きながら家までの帰路についたのを覚えています。

ジジには私しかいない、しっかりしないと。
まだ、次の抗がん剤は効くかもしれない。

4月初旬 歩けず、食欲も落ちていく

おしっこを自分で出せるようになった一方で、
今度は歩くことと食べることがどんどん難しくなっていきました。

4日ごろには、歩くというより後ろ足を引きずって移動することが増え、
先生から、できるだけ自分で歩かせたほうがいいと助言をいただきましたが、
頑張って移動してもトイレに間に合わず失禁することもありました。

以前のように尿を自力で出せないのではなく、後ろ足が動かず、トイレまで間に合わない状態でした。

それでも、毛繕いをし、左後ろ足を触られると嫌がる反応はありました。
完全に麻痺しているわけではない……。それが、まだ後ろ足が動くようになるという希望でした。

ジジは私のそばからずっと離れようとしないので、
失禁してもいいように布団に防水シートとペットシートを敷き、
ジジの場所を諦めなくていいようにしました。

この頃から食欲と元気もどんどん落ちていきました。

4月3日の体重は5.8kg。
前年の11月時点では約9kgあって、日々ダイエットに勤しんでいました。
全然痩せない!ってダイエットフードに文句を言ってた頃が懐かしい。

少しでも何かできないかと猫のマッサージの本を買ってみたり、ネットで調べたり。
ご飯もかなりの種類を試しました。貯金をかなり切り崩しました。
でも、一口も食べずに廃棄になることの方が多かったです。

この子がまだ赤ちゃんだった頃を思い出しました。
離乳食をなかなか食べてくれなくて、食べてくれた時は嬉しかったな。

少しずつ一緒にできるようになったことが、
少しずつ、あるいは急激にできなくなっていく。
私はあとどのくらいこの子と一緒にいられるんだろう。

リンパ腫の猫の余命や、新しく始める予定の抗がん剤について。
検索履歴が猫の闘病関連で埋め尽くされ、ジジの寝顔を見ると涙が止まりませんでした。

4月7日 抗がん剤を見送り、ステロイドへ

4月7日の朝、ジジの調子が悪く、予定していた新しい抗がん剤は見送ることになりました。

ぐったりして、また鼻水が出始めました。

まずステロイドを使い、全身状態が戻るかを見る。
持ち直せれば抗がん剤治療を続け、戻らなければ緩和ケアへ移る可能性もある。
そう説明されました。

緩和ケア……。
いつだったか病院の待合室で出会った口腔リンパ腫の猫ちゃんを思い出していました。

夜、寝るとき、ジジは私の服や枕に噛みついたまま眠っていました。
鼻での呼吸が苦しく、噛みつくことで少しは呼吸がしやすくなるのか……。

猫型の枕を噛んで横になる黒猫のジジ
当時、枕を噛んで過ごしていたジジ

瞳孔が開き、黒目しか見えないような状態の時も多く、
呼吸も苦しそうに見え、酸素が足りていないように見えました。

このとき、治療を続けることだけでなく、
「ジジが少しでも楽に過ごせること」
を強く考えるようになりました。

つらい思いはさせたくないな。
しんどい思いばかりなら積極的な治療はしたくない。
生きててほしい。でも……。

調べては葛藤し、落胆する。そんな日々でした。

4月8日 ステロイドでジジが動き始める

4月8日にステロイド治療を始めると、
なんと翌日には活動性や反応が明らかに良くなりました。

ほっとして大泣き。
甘えたようにスリスリして、私を噛んできました。

翌日には排便し、自分から水を飲む姿も見られました。
少しずつ、自分で食べたり飲んだりするようになりました。
食べた量よりも、食べたいと思ってくれたことが嬉しかった。

4月11日ごろには、自分で水を飲めるようになったため、
通院と点滴を3日に1回程度へ減らせるか試すことになりました。

おもちゃで遊んだり、
まだずり這いですが移動距離も伸び、
隣の部屋へ日向ぼっこしに行くように。

ただし、まだ状態には波があり、水を飲まない日もありました。
このまましばらく抗がん剤はいったん休み、
ステロイドを続けながら様子を見る方針でした。

少し元気を取り戻し、こちらを見る黒猫のジジ
少しずつ反応や元気が戻ってきた頃のジジ

次の抗がん剤「エンドキサン」へ

発作が止まれば安心できると思っていました。
けれど実際には、排尿、食事、歩行と、心配することが次々に変わっていきました。

それでもジジは、私のそばで眠り、撫でてほしいと甘え、自分の生活を続けようとしていました。
ステロイドを始めたあと、ジジがもう一度食べ、水を飲み、動き始める姿を見て、私も「まだできることがある」と思い直しました。

ジジ、一生懸命生きようとしてくれてありがとう。

そして4月14日。
次の抗がん剤「エンドキサン(シクロホスファミド)」を試すことになります。

この薬を始めてから、ジジの状態は大きく変わりました。

次回の【ジジの闘病記③】では、エンドキサンを始めて頸部リンパ節が小さくなり、呼吸や歩行が改善していったこと。
そして、迎えられないかもしれないと思っていた16歳の誕生日を迎えるまでを書きます。

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